おかしいと思ったが言えなかったのはなぜ?

先日、ある工場で製品の出来栄えが悪いというお客様からのクレームが来るという品質問題が起こりました。
その製品を担当しているAさんは経験者ですが、その時はBさんが担当しました。BさんはAさんより社歴は長いのですが、その工程に関しては経験も浅く、これから色々と経験していこうという段階した。
実は、Bさんはその製品の品質問題を起こす前に「ここはどうするの? この方法で良いんだよね」とAさんに確認していました。
ところがAさんは「おかしいな 違うんじゃないのかな」と思ったそうですが「こうしたほうが良いのではないか」とは言わずに「Bさんの考えでやってみたら」と言ったのです。
このAさんとBさんとのやり取りを聞いたときに、なぜAさんはBさんに「そのやり方ではまずいよ」と言わなかったのだろうかと思いました。
ひょっとしたら、思ったことが言えない関係になっているのではないかと周囲も考えました。仲が悪いのではないかと・・・。
Bさんが言わせないようにしているのだろうかと・・・。
しかし、Aさんから聞いて分かりました。
実は、最近、Aさんも別の製品で品質問題を出しており、そのたびに上司や他部署の人たちからも「こうしたほうが良い」「そのやり方だからダメなんだ」などと、周囲は親切心で助言してくれるのですが、その助言内容が言う人によってもバラバラでどの助言を聞いたら良いのかわからない状態になっていました。
それでも言われたことを元にやってみると、また品質問題を起こすといったようにすっかり自信を無くしていました。
Bさんが起こした品質問題の時にも「こうしたほうが良いのではないか」とは言わずに「Bさんの考えでやってみたら」と言ったのはBさんに言いにくいという状況ではなく、自信をなくしているAさんの気持ちに原因がありました。
自信を持って「こうしたら良い」と言えなかったのです。
AさんもBさんも担当している製品の生産については標準作業が確立していないという問題があります。
また、他部署からの助言が直接担当者にきて、時には社長からもどうなっているんだという話が直接Aさんに来たりして冷静になって考える状況を周囲が壊しているという問題があります。
それにしても、“おかしいと思ったけど言わない”という背景にはこのような問題があるんですね。改めて当事者からきちんと話を聞く大事さを再認識しました。
脱!思い込み!

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