69歳介護士奮闘記〜利用者同士が言い争う

認知症によってお互いに自分の物だと言って取り合いになることがある
いつもは穏やかに雑談しているOさんとKさん
私たちは会話が成り立っていないと思っているがお二人の間では成り立っているらしい
実に楽しそうだ
たまに互いに「そろそろトイレに行ってきたら」などと余計なことをおっしゃる
言われた方はその気になって「じゃ行こうか」と言って、我々スタッフに「トイレに行きたいの」とおっしゃる
お二人とも車椅子であり自分1人では行けない、介助が必要だ
OさんとKさんは良いコンビなのだ
OさんとKさんは2階にいる
先日、久しぶりに2階を担当した
2階に上がると申し送りでOさんが落ち着きないない、コロちゃんを探していると聞いた
それならいつもは居室に置きっぱなしになっていることが多いので居室に行ってみた
案の定、居室に置きっぱなしだった
早速、「コロちゃんいましたよ」とOさんに渡した
ところが「私のよ」、「いいえ私のよ。あげた覚えはないよ」と言い合いが始まった
最近、OさんとKさんがコロちゃんを取り合って喧嘩になるのでKさんには見せないことにしていたらしいが私が知らなかったのだ
連絡ノートにも書いていなかった
言い争いの原因を私が作ってしまった
久しぶりに行くとこうなる
2人とも自分のものだと主張して譲らない
元々はOさんのものだ
コロちゃん、コロちゃんと言って可愛がっている
私の子供だとも言っている
そのコロちゃんが手元にないと「私のコロちゃんは？」と落ち着かなくなり車椅子から立ち上がろうとする
転倒の恐れがあるので非常に危険なのだ
言い争いは収まる気配がない
Kさんにこれは元々Oさんのコロちゃんですよよ言っても失礼だけど通じるわけがない
やむを得ずOさんにトイレに行きましょうと誘導
その間、他のスタッフにコロちゃんをOさんの居室に戻してもらった
Oさん、トイレでの「私のものなのに」とブツブツ言っていたが、テーブルに戻った時にはコロちゃんのことも忘れていた
Kさんも忘れてしまったようでいつものOさんとKさんの関係に戻った
Oさん時々ネコちゃんは？と探す時もあるがネコちゃんとは犬のコロちゃんのことである
コロちゃんは自分が産んだらしい
夜は一緒に寝ている
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