鋳物の神様(いもののかみさま)

先日、風土改革支援をしているお客様の工場を見せていただきました。
工場を見せていただくとその会社の風土の一端が見えてきます。
スタッフや色々な人の仕事の結果が現場に現れます。
巨大な炉があって、その炉ではある材料をドロドロに溶かしています。
久しぶりにヘルメットをかぶり、案内に沿って、恐る恐る炉に近づきます。
炉の中から「ゴー!!」という音が聞こえてきます。
顔をそちらに向けただけでも顔が熱くなり、メガネが溶けてしまわないか心配になります。
ああ、この感じ、思い出します。
いすゞ自動車に入社したばかりのころに鋳物の実習をやっていた時です。
溶けた鉄がエンジンの鋳物型にどんどん流しこまれ、時々、ボンとガスが爆発します。
その時は花火のように綺麗に火花が飛び散ります。
その中を男たちがさっそうと仕事をしています。
まさに男の世界でした。
男たちは時々塩を舐めながら、溶けた鉄に挑んでいるようでした。
その 鋳物工場には「鋳物の神様」と言われている人がいました。
物の砂型の砂の硬さや質感、握っただけで、出来栄えが分かるというみんなに尊敬されている人でした。
運よく、その「鋳物の神様」から実習の指導を受けることができました。
見た目は本当に優しいおじいちゃんという感じですが、溶けた鉄を前にすると人が変わったように怖かったです。
鋳物工場の人や鋳物の技術者は「鋳物を制するものはディーゼルエンジンを制す」と言っていました。
まさに、そのディーゼルエンジンにこだわったいすゞが存在感を示し、見事復活しました。
「鋳物の神様」
鋳物に関わっている人は「鋳物の神様」を目指していたように思います。
工場って良いですね。
人間臭さを感じます。
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