産業用ロボットの実用化に取組んだ思い出

東日本大震災をきっかけに今まで気付かなかったことに気付かされることが数えきれないほどあります。
リーダーシップのあり方や、モノ作り、エネルギー、そしてロボットの実力。
少し古い話ですが(と、思ったがそうでもない?)、4月20日の読売新聞に使えない「日本製ロボット」、原発災害に能力不足・“実践”経験なく低い完成度・・・との内容が掲載されていました。
日経ビジネス(2011年5月15日号)にも『「ロボット大国日本」の虚実』と言う特集が組まれています。
私も、「原発事故で活躍してくれるのは日本のロボットだ」と思っていましたが、違っていましたね。
今回の原発事故の前までは、二足歩行型で、表情までもより人間に近くなり、凄いなあと思っていました。
私も、生産技術を担当していた時に、大型トラック用ミッションの歯車の加工工程で使いロボットの実用化にむけてメーカーと一緒に開発に取組んだことがありました。昭和55年ごろです。
加工する部品はとても重く、10キログラム前後の片手で工作機械に取り付けるには大変な工程にロボットを設置する計画でした。
当然ですが作業者とロボットの動くエリアが重ねる部分が出てきますので安全対策が重要ですし、部品の形状の種類や重量も違いますので、ロボットが柔軟に対応できるかも重要です。
腕だけのロボットでしたから、多くの人がイメージするロボットとは違いました。
現場に人には「ロボットというから想像していたけど、随分イメージが違うね」と言われました。
複数のメーカーと進めましたが、最終的に1社に決めて実際に現場に設置しましたが、現場からは使いにくい、作業時間が長くなる、段取り替えに時間がかかる・・など、最後は「外してくれ!」との意見も出てきました。
作業者に変わって重いモノを持つ作業をロボットに代わってもらうことを目指したのですから、現場の人から感謝されるのかと思いましたが反対に苦情が多かったことを思い出します。
今回、原発事故で対応したロボット、人型ロボットとは全く違っていました。ラジコンの戦車の延長のようなものでした。
実際にがれきの山を二足歩行型のロボットが自由自在に動き回れたら凄いとは思いますが・・・現実的ではないですね。
戦争や紛争もなく、平和を満喫してきた日々の生活、それにドップリつかった日常生活で進化発展してきたロボット技術。
実用的でなくても夢を求めるのは良いと思いますが、地味ですが、あらゆる災害に備えて、見栄えが悪くても実践で使える技術の追求も大切だと気付かされました。
手塚利男

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