INい さんの思い出

先日、INい(以下Iさん)さんが退居された

もう少し利用料の安い施設に移るらしい

Iさんは、私が新人のころとても怖い感じの人で夕方にリハパンからオムツに換える時はドキドキしたし、行くのが嫌だった

何度か寝たきり寸前のところまで身体の状態が悪くなったが、その度に持ち直し自力で居室と食堂を移動した

ある時、居室を覗くとスクワットをやっていた

またある日はトイレからものすごい声が聞こえてきた

行ってみると便が何日か出ないために力んでいる声だった

何度も何度も大きな声で力んで

出た!

思わず良かったですねと声をかけた

ある時は、洗濯物に汚れがついていたため他のスタッフと一緒に呼ばれて叱られた

別の日には食事の配膳時に膳の置き方が乱暴だと言って置いた人(施設長)を呼びつけて叱っていた

薬の飲み方にこだわりがあって、Iさんが先にスプーンに水を入れたらその中に錠剤や粉末の薬を全部入れて飲まれるが、こぼさないように全神経を集中した

麻雀が好きで時々1人麻雀をやっていた

常時鼻から酸素を入れる状態になり歩行器にボンベを積んで自分で押して移動するようになった

帽子が好きで何種類かの帽子を変えてフロアに出てきた

素敵な帽子ですねというと「そうだろう」という風な笑顔を返してくれた

心の優しい人だと後で気づいたが、ちょっと短気気味の人だった

8月15日の終戦日には正午にHHK放送で国歌がながれるといきなり直立不動の姿勢を取られた

退居される前の日にお別れの挨拶ができた

Iさんお元気で、そして鍛えていただきありがとうございました

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