69歳介護士奮闘記〜冗談でも言ってはいけない

「Hさんオムツデビューでーす」
業者からオムツの納入があり各フロアに配った時のこと
配布を間違えないようにお一人づつ利用者さんの名前を呼んで届けるようにしている
袋にHさんの名前が入ったオムツもあった
一瞬、あれ、Hさん？　と思ったが
受け取ったスタッフが
「Hさん、オムツデビューでーす」と冗談のような言い方をした
確かHさんは日中はリハパンで尿意が有ればスタッフがトイレに一緒に行きリハパンを下ろして便器に座らせてあげる
時には頻繁にトイレに行く時もある
その都度スタッフが連れて行って手伝うがHさん立位が取れないためにスタッフによっては2人で行うこともある
1人が立たせてあげて、もう1人はリハパンを下げてあげる
リハビリを履くときはその逆だ
Hさんは小柄なのでスタッフによっては1人でできる人もいる
私も1人でできる
ただ夜は夜勤者が1人なので無条件に1人でやらざるをえない
夜も頻回に尿意があり夜勤者をコールボタンで呼ぶ
夜勤者は大変だと聞いていた
オムツデビュー？
ということは排泄の時に便座に便座に座らないでオムツに出してくださいということを意味する
Hさんはどういう気持ちで納得したのだろう
自分の意思でトイレに座って排泄するという人間としての行為を失ったことになる
Hさんは残念だったと思う
手も不自由なので拭くことも苦労していたがそれでも自分でやると言って頑張っていた
そのHさんの気持ちを考えると
「Hさんオムツデビューでーす」などと冗談でも言えない
「申し訳ないけどオムツにしてもらった」だろう
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