製品の開発生産を中止することの重圧

「三菱電機、携帯電話事業から撤退」というニュースが流れています。また先月は「東芝、HD―DVD撤退」というニュースが流れました。
私は、これらの“撤退”というニュースから、I自動車にいたときに経験した「乗用車の自主開発中止」の時を思い出します。
I自動車での「乗用車からの撤退」は長年の検討事項で、時の経営陣は決断できないまま来ました。
そしてS社長になってからついに「乗用車の自主開発中止」を決定しました。車が好きで、しかもいつかは自分も乗用車の設計や開発、生産に関わりたいと入社してきた社員にとってとてもショッキングなことでした。
その時の経営陣の心配は社員の求心力を失うのではないか、技術者が離れていくのではないか、ということでした。
自動車の総合メーカーとして誇りもありましたので、その中のシンボル的位置にある乗用車の自主開発から撤退するのはとても寂しいものでした。
しかし、一方では、社員からは、このS社長の撤退という勇気ある決断が「社長の改革の本気」を感じたことも事実です。
S社長は自ら設計や開発の現場に出向いて社員と話合いをしました。
結果、多くの技術者はRVやトラックに異動したためにI自動車を離れる人は少なかったと思います。
その時、S社長はおっしゃっていました。
「今回の決定で、OBからは文句を言われ、いろいろブラックレターも届くんだよ」・・・と。
三菱電機や東芝のそれぞの商品に関わっていた人の気持ちを想像するに、I自動車での経験から人ごとには思えませんでした。

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