今日は長文です。
古い、とても古い話ですが、1996年5月11日の毎日新聞「TOKYOヌーボー」に「ブラブラ社員」が次のように紹介されました。
忙しそうに働く人をしり目に楽しげに話す背広姿の男性。しばらくすると、ほかの人と再び笑顔で話し込む。就業時間中にもかかわらず、ずーっと社内をブラブラしているだけだ。
男性は、ある大手自動車メーカー社員のTさん(43)。名刺の肩書は、「人事部人事グループ課長」だが、社内では「ブラブラ社員」と呼ばれる。なーんだ、窓際族か、と思ってはいけない。社員が抱える問題を解決したり、部門間のパイプ役になって優れたアイデアなどを掘り起こすのが役割。社内を歩き回り、話をするのが本業なのだ。
赤字経営を立て直すため、同社が2年前から始めた改革の一貫で生まれた。上から与えられる仕事は一切ない。工場や役員室にも自由に出入りし、幹部と直接話し合う。これまでに、各部門の社員が本音をぶつけ合う異職種交流会などを設けた。
<中略>
ピラミッド形の縦割り組織の大会社ほど自由な風潮はなくなる。作れば売れるバブルの時代ならそれでもよかったが、「これからは、上下や部門間の垣根を取り壊し、社員のアイデアを活かす組織でなくては」と経営コンサルタントの柴田昌治さん。組織を変える存在として「ブラブラ社員」は生まれた。
健全な企業なら必要ないはずのブラブラ社員――。組織肥大化という大企業ゆえの宿命がもたらした申し子なのかもしれない。
先の大手自動車メーカーの「ブラブラ社員」は大企業病化した組織に風穴をあけることを狙いにして生まれたブラブラ社員ですが、今、中小企業でも互いにカベをつくり、社員が萎縮しているような雰囲気の職場で自由な風潮を失っている職場が多くなっているようです。
先の大手メーカーのように「ブラブラ社員」を仕事として任命するには会社の了承が必要です。しかし、特に任命されなくても、自主的に「1日30分、ブラブラする」ことならできる人も多いのではないでしょうか?特にマネジメントクラスの方。
例えば、会議で他部署に行った時、会議が終わったら直ぐに自分の部署に戻るのではなく、行った先の部署の方に「最近はA製品の売れ行きはどう?」とか「あなたの部署で改善して効果を上げていると聞いているけどどんなことをやっているの?」「先日、外部の交流会に参加した時にS社の営業の人からこんな話を聞いたよ」と、30分でも良いからブラブラしながら情報交換する。
こんな忙しい時に、用事が済んだら早く自分の職場に戻って仕事をしなければと考える人が多いと思いますが、特にマネジメントクラスの場合は、情報交換・情報収集は欠かせないと思います。
『出会いから変革の想いに火を灯す』手塚利男
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